顎関節症

口を開けたり、閉じたりするための関節に痛みを生じたり、口を開閉するときに音がなったり、口を開けられなくなったりするなどの症状を「顎関節症」と呼びます。

 

顎関節症の三大症状
①顎関節の痛み・・口を開けるとき、ものを咬むとき
②開口不全・・口が開きにくい⇒関節円板が下顎頭にひっかかっている、痛みの為開きにくくなっている
③顎関節雑音・・あごの関節からカクカクと音がする⇒関節円板がずれていることが多い。

顎関節症の原因

顎関節症の原因は一つではなく、複合的な要因により顎関節や筋肉の耐久限界を超えたときに発症します。
①くいしばり、歯ぎしり
顎周辺に無理な強い力が加わり、関節や周囲の筋肉を傷めます、歯ぎしりをしていても音がしないが多いため、気づきにくいですが、実は多くの人が歯ぎしりをしています。また、くいしばりは、眠りの浅い時や日中無意識にしていることもあります。
②片側で噛む癖、頬杖や姿勢などの癖
③噛み合せの悪さ、不適合な冠、入れ歯
歯が欠けていたり、かぶせた金属やプラスチックが壊れたりして、噛み合せが悪くなり、慢性内在性外傷(咬合性外傷)を引き起こすことによって症状が現れます。
④精神的ストレス
精神的、心因的なすとれす、ゆううつ、不安などが関与します。咀嚼筋(噛むための筋肉)がイライラや不安などのストレスが原因で緊張し、顎関節に負担がかかります。
④その他
スポーツや事故による外傷
顎関節症を引き起こしやすい病気によるもの・・リウマチ、耳下腺炎、自律神経失調症、多発性関節炎、不眠症

顎関節症の治療方法

顎関節症の治療に先だって、問診、視診、筋肉の状態、骨や内部組織の状態、あごの動き、精神、心理的状態などについて調べる場合があります。
その結果、どの部分にどんな問題があるかによって、治療が選択されます。

スプリント療法

顎関節症の発症原因の説明には、多因子説が採られており生活上の問題が症状の発現、憎悪に寄与していることが指摘されています。さて、顎関節症にたいして、スプリント療法は、最も頻繁に利用されている治療法の一つと言えます。
全てに有効というわけではないが、70~90%に有効のようです。
その作用機序は、1.咬合と顎関節の関係の軽減  2.顎関節への負担軽減  3.咬合干渉の排除  4.過度の咬耗の防止 4.筋の過緊張を解くなどです。
スプリントを夜間、装着し、最初の1~2週間で効果が現れ始め、3か月ほど使用して効果を確認するもので、効果が認められない場合は、同一装置を長期間続けることは、避けなければならないものです。

薬物療法
消炎鎮痛剤の投与、筋弛緩剤の投与など、必要に応じて薬を投与します。
理学療法
患部のマッサージ、温熱療法、レーザー治療など理学療法を行います。
外科手術
症状が重度の場合、関節鏡手術により、癒着部分をはがしたり、関節円板の動きを良くする手術を行う場合も稀にあります。
 

症状改善のためのセルフケア

症状改善の第一歩はセルフケアです。関節や筋肉に痛みがある場合は、なによりもまず安静にすることです。
安静にするだけで症状はずいぶん改善されます。
①ガムなどは顎関節や筋肉を酷使させ、疲労や微小外傷が痛みの原因になることもあります。
②やわらかい食事をとる・・関節や筋肉に負担をかけず回復しやすくなります。
③大きく口を開けない。
④あごのリラックス・・くいしばったりしないよう、あごの力を抜き、上下の歯を離すようにしましょう。
⑤湿布・・急性期は冷湿布、慢性の症状には温湿布が有効です。
⑥マッサージ・・緊張している筋肉を自分でマッサージすることも効果的です。
⑦良い姿勢を保つ・・猫背の姿勢は、あごや首や肩の筋肉に負担をかけてしまいます。
⑧寝るときの姿勢・・仰向けの姿勢はあごや首の筋肉をよりリラックスさせます。
⑨ストレスの緩和